「感じる心は…」

連休を利用して、信州まで行ってきました。
今回の目的は、
□『林明子さんの原画展』を観ること。
  岡谷市と八ヶ岳の「ちいさな絵本美術館」で、開催されています。
□『黒井健さん』に会うこと、でした。
  清里の駅から少し離れた、静かな場所に「黒井健絵本ハウス」が建てられています。

『林明子さん』をご存じ無い方は、居ないと思います。
「かみひこうき」を始めに、「きょうはなんのひ?」「はじめてのキャンプ」「こんとあき」
「びゅんびゅんごまがまわったら」等、沢山の絵本や挿し絵をかいています。

『林明子さん』に描かれた子供達、みなしあわせの種を持っています。
そのしあわせが、ページを開くごとに伝わるってきます。
“天真爛漫”“純真無垢”という言葉があります。
この言葉が合って居るか否かは分かりませんが、“ときはなされた心・とらわれない心” “豊かな思い”を、子供達の瞳に仕草に感じています。

岡谷市の方では、「ぼくのぱん わたしのぱん」「おいていかないで」を…。
八ヶ岳では、「あさえとちいさないもうと」「おふろだいすき」
「はっぱのおうち」 「まほうのえのぐ」「こんとあき」「10までかぞえられるこやぎ」でした。

「あさえ…」のあかいジャンパースカートの質感…、柔らかさが伝わってきます。
光を受けてキラキラと輝いている?…錯覚に捕らわれます。
髪の一本一本がていねいに描かれており、「サラ〜」っと今にも落ちてきそうです。
愛おしくなります。


『黒井健さん』の作品は、150冊をゆうに超えていると思います。
ご自身で絵本を作るのはもとより、絵本や童話・雑誌の挿し絵・冊子の装画、画集などあります。
「けんちゃん…」「かぼちゃ畑三ちょうめ…」「ころわん…」のシリーズ絵本から
宮沢賢治氏の作品から「私のイーハトヴ」「雲の信号」「猫の事務所」
新美南吉氏の作品からは、「手ぶくろを買いに」「ごんぎつね」…等色々です。

私は、『きつね』の話しがお気に入りです。
「手ぶくろを買いに」「ごんぎつね」の2冊と共に、立松和平氏…文の「キツネのやくそく」です。
黒井氏の絵本には、沢山の動物が登場してきますし、きつねもいます。でも、上記3冊は別格です。
一言で表現するならば、「美しく、この世界ではない(あり得ない)」と感じます。
一枚の『絵』を観ているように思うのです。
触れたらならば、淡雪の様に消えてしまいそうな…雰囲気を漂わせています。
でも、そ〜っと触れてみたい…
そんな、気持ちを抱かせます。いつまでも側に居たい…。

もう1冊は、鶴見正夫氏…文の「しなの川」(詩を絵本に…絵を詩に…?)です。
黒井氏は新潟市に生まれ、信濃川を身近に育ったそうです。
でも、源流についてはご存じ無かったとか…
信濃川は、長野県では「千曲川」と呼ばれ、その源流は川上村と言われています。
私は一時期その川に合流する、もう一方の川を持つ小さな村に住んでいました。
絵本のページをめくるだびに、音を…匂いを…空気を…感じます。
その川と共にある情景、生活を感じるのです。
そして私の知らなかった信濃川…。でも知る事ができて、なんだか“ホッ”とできて…。
目頭熱くなり、胸が“キュ〜ン”としてきました。
思わず、手にした1冊です。

『絵本(お話し)』をどう感じるか…。
それは、自身がどう生きて来たか(どう育てられたか)により随分と違う。事を感じました。
ひとり一人「お気に入り絵本」がある事のしあわせ、思います。
幾つになっても、「お気に入り絵本」と出会えるしあわせ、感じます。

     2003・9/  
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